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カテゴリ:コトバ( 5 )

学習 [たま]

今になってあのときのあの人の
気持ちが分かるから
後になって今の君の気持を
分かることにするよ


アルバム:東京フルーツ「学習」より
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たまの「学習」という歌がある。
とても好きな歌で何度も何度も聴いた。聞いた。
耳だけじゃなくて、心だけじゃなくて、頭でも聴いた。聞いた。



[学習] 作詞作曲 知久寿焼氏

今になってあのときのあの人の気持ちがわかるから
後になって今の君の気持をわかることにするよ

君を許してあげるよ
君を許してあげるよ
君を許してあげるよ
僕のために

いつまでもずーっと生きてても死んじゃってからも
僕にはわかんないことまだまだまだまだある気がするよ

君を許してあげるよ
君を許してあげるよ
君を許してあげるよ
僕のために



この歌詞は、意味もだけど構造もとても深くて、
僕は何度も繰り返し聴いて、やっと(ちょっと)
理解できた気がした。

みなさんも、なんども読んでみてください。

時間軸を考えながら、「今」と「後」がいつなのかを
じっと考えると、だんだんわかってくる。

知久さんという人は、曲もだけど歌詞も独特で
やさしいのに残酷で、とても才能があるなぁと思う。


僕はこの曲を聴いていて、
榎本俊二氏の「ムーたち」というマンガに出てくる、
セカンド自分を思い出した。

セカンド自分とは、自分がここにいて、もう一人の自分が
その自分を見ているという感覚。

マンガの中では、サード自分、フォース自分と、どんどんどんどん
客観する自分が増えていく。(ムーたちについては、また今度)


客観する自分。客観しているうちに、自分がいなくなる感覚。

学習というタイトルは、経験とも言い換えられるものかもしれない。
マニュアルや教科書じゃわからない、
自分だけしか分からないことがあることを、感じる。


4分30秒あたりからが、「学習」です。

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by blues-words | 2009-07-01 15:12 | コトバ

 生きてるだけで、愛。 [本谷有希子] 

大丈夫たよ。


僕の好きな作家の一人、本谷有希子氏。

もともと劇団の演出家だけど、小説もとてもいい。
言葉に対してまじめな人だなぁと思う。

その本谷有希子の「生きてるだけで、愛。」という
中編がある。
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以下はその43ページのシーン。

主人公の寧子(やすこ)が、同棲相手の津奈木に
「死にたいかも」というメールを送ったときのシーン。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
気持ちが沈んでいくのを止められないまま津奈木の携帯に
『死にたいかも』とメールを送信した。しばらくしてから返信
があって画面を見ると、『大丈夫たよ』という文章が書かれて
いて、あたしはその『大丈夫たよ』に激しい怒りを覚える。
なんだ、たよって。人の生死に関わるメールなんだから
読み返すくらいしろよ。こんな短い言葉、打ち間違えんな
眼鏡うんこ。お前が死ね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自分がギリギリで、いろんなことがうまくいかなくて、
唯一頼れる人、頼っていい人にメールを打ったら、
『だ』が『た』になってた。

簡単な文章を打ち間違える。この小さな間違いに主人公が傷つく。

なんか、最近メールの文章もブログも誤字脱字を
気にしない傾向があるけど、本当の本当はそうじゃないかも。
と思わせてくれた。

誤字は、それが狙っていなければ、やっぱり誤字。
気持ちのうすーい言葉になって相手に伝わってしまう。

それが小さくて簡単な言葉だと、なおさらそう。

手紙のほうが誤字が少ないかもしれない。

誤字は、人間と機械の分業が進んだ結果、
増えてしまっているのかもしれない。
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by blues-words | 2009-06-24 18:03 | コトバ

夏の地図 [ハイロウズ - 甲本ヒロト]

切り開くというよりは
切り裂くという感じ。


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アルバム:ロブスターより



1998年発売の、ハイロウズのアルバム「ロブスター」の一番最後に
「夏の地図」という歌がある。

甲本ヒロト作詞作曲。


[夏の地図]

オバケが出そうな夜の教室で
雨がやむのを待ちながら 僕らは作戦会議
行きたいところがたくさんあって困るよ
どんなに遠くてもかまわないよ
昨日は読むもの明日は書くもの
昨日は読むもの明日は書くもの

夕立ちに濡れたオートバイで走り出し
海が見える頃 ガソリンタンクは軽くなる
世界が止まったように見えたその時に
最高速を記録する
切り開くというよりは 切り裂くという感じ
切り開くというよりは 切り裂くという感じ



本当はこのあとにサビが続くんだけど、ここでは、この
切り開くというよりは 切り裂くという感じ」という歌詞に
注目したい。

甲本ヒロトという人は、言葉の定義を改めて明確にすることで
その言葉の持つ本当の意味や、その言葉のまわりにある背景に
気付かせてくれる歌詞を書くことができる、数少ない人だと思う。

この歌詞もそう。
「切り開く」ではなく「切り裂く」だと並列することで、
バイクの疾走感、そしてバイクに乗ることの目的までをも
僕らに気付かせてくれる。

僕はちょうどこのころにバイクの免許を取った。

自転車ともクルマとも違う、バイクのスピード。
風が顔に当たる感じ。湿度の高い日本の夏のど真ん中を
駆け抜けていると、夏のむっとした空気の中にぶつかる。
かきわけるように走る。この感じこそ、「切り裂く」だと思った。

そして同時にそれは、決して「切り開く」ではない。


もともと「切り開く」とは、開閉可能な物質を開くことだ。
「開く」ようにできているものが閉じている状態のものを
開くときに使用される言葉だ。

でも、「切り裂く」は違う。
もとから入口などなく、カタマリであり、壁であり、
とらえどころのない物質を、裂くのだ。
つまり開閉不可能な物質を、裂くのだ。

「開く」と「裂く」は、そこが違う。


よくある不良ソングでは、バイクは自由の象徴になっている。
盗んだバイクなんて、お笑いのネタになってしまうほどだ。

でもここではバイクは自由にとどまらない。

「切り裂く」ためのバイクは、不良ソングのように
閉塞の世界からの脱却=自由というだけにとどまらず、
新しい未知の世界への開拓という意味で使われている。
それは冒険や挑戦に近い。

自由は、言ってみれば、「逃げ」と同じだと言うこともできる。

校則や規則や法律にキレて、そこから脱することは
自由であると同時に、逃亡でもあるんだ。

でも「切り裂く」ことは、そうじゃない。
古い世界から出るだけでなくて、新しい世界に行くこと。
その時に使う言葉なんだと思う。


切り開くのではなく、切り裂いていくこと。
それは、ハイロウズという大人のロックバンドが言える
控えめな教訓のような気もする。
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by blues-words | 2009-06-20 14:11 | コトバ

 ひとつだけ [矢野顕子・忌野清志郎]


キミの心の 黒い扉 開くカギ


矢野顕子の名曲、「ひとつだけ」。
この曲をfujirockその他のライブで、忌野清志郎と一緒に
いまわのあきこというユニットで歌っていた。

そのバージョンでは、清志郎らしい歌詞の工夫がなされている。

本来は、すべてを1人(女性)で歌うことで、
思春期の女の子の一途でキラキラした世界を歌っているが、
いまわのあきこになることで、それは変わる。


[ひとつだけ(元の歌詞)]

欲しいものはたくさんあるの
きらめく星屑の指輪
寄せる波で組み立てた椅子
世界中の花 集め作るオーデコロン

けれどもいま気がついたこと
とっても大切なこと
欲しいものはただひとつだけ
あなたの心の白い扉 開くカギ






一番の途中から、清志郎にバトンタッチする。
その時の歌詞がこう。

けれどもいま気がついたこと
とっても大切なこと
欲しいものはただ一つだけ
キミの心の黒い扉 開くカギ


「白い扉」を、「黒い扉」、と言い換えるだけで
歌は女の子の王子様的世界から、男の子のはかない世界へと変わる。

僕ら男にはわからない、女の子の黒い黒い心の奥の黒い扉。
キミが知りたい。でもそう言えば言うほど、女の子は心を閉ざす。

「白」を「黒」に換えるだけで、
こんなに曲の意味が変わることがあるんだと思った。


もちろん、そのあとの、
「離れているときでも、僕のこと、忘れないでおくれ」
という主語変換も見事だけれど、
この歌のアレンジの最大のポイントは、
「白」を「黒」に換えたことだと思う。
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by blues-words | 2009-06-18 14:22 | コトバ

はじめまして

忌野清志郎が死んだので、ブログはじめました。

歌詞とか詩とかセリフとかコピーとか標語とかなんでも、
いい言葉、ダメな言葉についてなんかを、
つらつらと書いていこうと思う。
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by blues-words | 2009-06-18 12:16 | コトバ